ゴリラクリニックの
クリエイティブに込めた“こだわり”とは
クリエイティブに込めた“こだわり”とは
全国に20院(取材当時)を展開する男性専門の総合美容クリニック「ゴリラクリニック」の院内は、黒を基調としたインダストリアルな雰囲気でありながら、清潔感の共存した空間を演出している。
美容クリニックと聞いてイメージしていたそれとは、かけ離れた内装に違和感を覚えた。そして、ゴリラクリニックのビルサインを目にしたことがある方には、馴染みのあるゴリラのロゴマークをデザインした彼が、クリエイティブに込めた意図とは一体、何なのだろうか?
今回は、ゴリラクリニックの創業から携わりクリエイティブを統括する山下憂也さんに、ゴリラクリニックのデザインへの想いやこだわりを伺ってきた。

クリエイティブのルール
一貫性のあるゴリラクリニックらしさ
一貫性のあるゴリラクリニックらしさ
取材者:早速ですが、山下さんの職種は、デザイナーになるのでしょうか?
山下:デザイナーでもありますが、携わっている業務の範囲でいうとクリエイティブディレクターです。ブランド戦略から考える必要があるので、ただデザインだけをすれば良いというわけではないんですよ。
取材者:なるほど。デザインは、ブランド戦略の一貫という理解で合っていますか?
山下:そうですね、デザインはブランディングやマーケティングの手段だと思っています。
取材者:では、その手段として、今までにどういったものをデザインされてきたのでしょうか?
山下:ゴリラクリニックを象徴するロゴをはじめ、院内の壁にある「Dr.ゴリラ」などのCI・VI領域。クリニックの看板・内装、院内ツール、診察券、オブジェなどの空間・プロダクト領域から、Webサイトやチラシ・パンフレット・チケット・名刺などの販促物周りのデザインまで横断的に担当してきました。
取材者:それだけ幅広くデザインを手掛けてこられた訳ですが、ブランドとしてイメージを統一させる為の、何かルールみたいなものがあるのでしょうか?
山下:はい、全てのデザインの前提に「ブランドアイデンティティ」があります。
取材者:ブランドアイデンティティとは?
山下:分かり易くいうと「ゴリラクリニックらしさ」を表現するためのものです。
多くの企業には、理念としてビジョン・ミッションやバリューが存在します。ゴリラクリニックのミッションは、“男性美容という文化を創る”です。そして、実現したい未来として“男性美容のシンボル”になることを目指しています。ただ「男性美容」という言葉に馴染みのない人がまだまだ多い中で、どういった印象を与えることが正解なのか?その答えを導き出す為の「手段」としてデザインを手掛けているんです。今現在も顧客とのあらゆる接点で、一貫性のある「ゴリラクリニックらしさ」を感じとってもらえる様に試行錯誤しています。
多くの企業には、理念としてビジョン・ミッションやバリューが存在します。ゴリラクリニックのミッションは、“男性美容という文化を創る”です。そして、実現したい未来として“男性美容のシンボル”になることを目指しています。ただ「男性美容」という言葉に馴染みのない人がまだまだ多い中で、どういった印象を与えることが正解なのか?その答えを導き出す為の「手段」としてデザインを手掛けているんです。今現在も顧客とのあらゆる接点で、一貫性のある「ゴリラクリニックらしさ」を感じとってもらえる様に試行錯誤しています。

ゴリラクリニックへ通うことに
ステータスを感じるか
ステータスを感じるか
山下:(取材者に向かって)そのMacBookはご自身のですか?
取材者:いえ、これは会社からの貸与品ですが、プライベートでもMacBookを使っています。
山下:どうして、Macを選んだんですか? 他の選択肢もあったと思うのですが。
取材者:そんなの“かっこいい“からですよ(笑)
カフェで作業する時もMacBookの方がかっこいい、学生の頃からスターバックスでMacBookを使って作業する人に憧れていました。今でもそのイメージは変わらず、なぜかMacを使っている人がクールに見えてしまうんですよ。
カフェで作業する時もMacBookの方がかっこいい、学生の頃からスターバックスでMacBookを使って作業する人に憧れていました。今でもそのイメージは変わらず、なぜかMacを使っている人がクールに見えてしまうんですよ。
山下:カフェでMacBookを使うこと、その行為自体を“かっこいい”と思い、そこに“ステータス”を感じていたということですね?
取材者:ステータスというと、社会的地位のことでしょうか?
山下:はい、こういった取材や原稿のライティング作業は、MacBook以外のPCでもできます。ただ「Macを使っている人を見て、自分も使いたい」と思った。それが「選ぶ理由」であり、カフェでMacを使っている自分をイメージした時に、“格好良く見える”という一種の「ステータス」を手に入れる為に、そのMacを選んだのだと思います。
取材者:確かに、客観的に説明されなければ気づきませんでしたが、MacBookを“カフェで使っていること”に憧れというか、山下さんの仰る通りステータスを感じていたのかもしれません。
山下:まさに、その感情を引き出したくて、私はゴリラクリニックへ“通うことをステータス”に感じさせたいんです。その要因の一つとして「クリエイティブ」が重要であると考えたんですよ。
世の中の男性美容に対するイメージを
クリエイティブから変えたい
クリエイティブから変えたい
取材者:“通うことがステータス”とは、具体的にどういうことでしょうか?
山下:ゴリラクリニックの創業当時、美容医療に対する世の中のイメージは、「とてつもなく高額」だったり、男性視点での美容クリニックは「下半身のコンプレックスを治すだけ」という偏った理解がまだまだあると感じました。まず、その誤解を解くことができなければ、クリニックを訪れる方の理想を追い求めるサポートなんてできないのでは?と考えたんですね。そこで、“通うことを誇らしく”感じていただける「純粋な格好良さ」を演出することから始めようと思いました。
取材者:なるほど。「格好良さ」を演出している部分というのは、どういうところなのでしょうか?
山下:例えば、ゴリラクリニックの診察券は、厚みのあるマットブラックのカードにゴールドの箔押しを施しています。これを見てください。

取材者:通ってないけど欲しいかもしれない…。
診察券の様な小さなことからステータスに繋がっていると?
診察券の様な小さなことからステータスに繋がっていると?
山下:実は「無駄にかっこいい」とSNSで話題にしていただくことも多いんですよ。
ただ、よく考えてみてください。普通は、病院の診察券の写真をSNSへ投稿しませんよね?
ただ、よく考えてみてください。普通は、病院の診察券の写真をSNSへ投稿しませんよね?
取材者:確かに、ないですね…。
山下:私もしたことはありません。
しかし「通っていることを誰かに伝えたい」という動機を生み出した時点で、その行為をステータスに感じていただけたのだと思っています。
しかし「通っていることを誰かに伝えたい」という動機を生み出した時点で、その行為をステータスに感じていただけたのだと思っています。
つまり、クリエイティブの力が偏見のあった美容クリニックのイメージを一つ変えたんです。
